Eagles／『One Of These Nights』

1975年の夏、Eagles は通算4枚目のスタジオ・アルバム『One Of These Nights』をリリース。3曲の全米 Top5 を含むこのアルバムは Eagles 初の全米 No.1 に輝き、これまでにアメリカでは400万枚のセールスを上げている。

全米 Top5 に入った3曲は、まず、アルバムのタイトル曲で先行シングルとしてカットされた『One Of These Nights』。1974年暮れにリリースされた『Best Of My Love』に続き、Eagles 2曲目の全米 No.1 シングルになった。ちなみにこの2曲、ともにリード・ボーカルは Don Henley。

アルバムからの2ndシングル、Glenn Frey がリード・ボーカルをとる『Lyin' Eyes』は全米チャートで最高2位をマーク。No.1 は逃したが、翌年の Grammy 賞では Best Pop Performance by a Group に選出され、Record of the Year の候補にも挙げられた。

そして、この年の暮れにカットされた3rdシングルの『Take It To The Limit』は Randy Meisner がリード・ボーカル。全米チャートで最高4位になり、全英チャートでは Eagles の曲でそれまでの最高となる12位をマークした。

『Take It To The Limit』は Eagles の双頭、Don と Glenn がリード・ボーカルを担当しなかった初のシングルという一方、Eagles のオリジナル・メンバー Bernie Leadon をフューチャーした最後のシングルでもあった。

それまでのスタジオ・アルバムでは曲作りに J.D. Souther や Jackson Browne という顔ぶれがあったが、この『One Of These Nights』で曲作りは極力バンド内だけで行うという方針だったという。

だが、アルバム最後の曲『I Wish You Peace』では当時のカリフォルニア州知事 Ronald Reagan の娘で、Bernie の恋人だった Patti Davis が参加。これを後に Don は、快く思わなかったとコメントを残している。

また、それまでの Eagles の曲でボーカルを担当するのは、主にその曲を書いたメンバーだったが、それがアルバムの3曲目『Hollywood Waltz』では兄弟の Tom もライターにあった Bernie ではなく、Don だった。

Don、Glenn、Bernie、Randy の4人で始めた Eagles が、全米チャートやセールス面で成功を収めた裏で、次第にメンバー間での確執を生んだのが、皮肉にもこの『One Of These Nights』というアルバムだった。

前作『On The Border』に参加したギタリスト Don Felder の貢献度が大きくなり、初期の Eagles が持つイメージが薄れ、徐々にロック色が濃くなったのも『One Of These Nights』の特徴。Eagles の曲で唯一、Don Felder がリード・ボーカルを務める『Visions』も、ここには収録された。

こうした変化は、後にオリジナル・メンバー Bernie の脱退に繋がった。

リアルタイムで聴くことのなかったアルバム『One Of These Nights』だが、こういう当時のバンド内の事情を知ると、華やかな成功を得たアルバムという肩書きより、物哀しい雰囲気が漂うアルバムに聴こえてしまう。

One Of These Nights
【SIDE ONE】
One Of These Nights
Too Many Hands
Hollywood Waltz
Journey Of The Sorcerer
【SIDE TWO】
Lyin' Eyes
Take It To The Limit
Visions
After The Thrill Is Gone
I Wish You Peace

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